ステマ、やらせから逃れた聖域!?Facebookの「口コミ」を多くの人が信用する理由

 SNSに友人がアップした商品や店舗、サービスなどの情報を見て、実際にそれを試したくなった経験のある人は多いだろう。商品を購入する際、アマゾンや価格.comなどで口コミをチェックする人は少なくない。しかし、1月25日にビルコムが発表した調査結果によれば、口コミサイトやECサイトの口コミ以上に信用度の高いのはSNSでの友人の口コミだという。“口コミ”による宣伝効果の強さは以前から言われてきたことだが、ネットを介した友人からの“口コミ”は、流通にどのような影響を与えるのだろうか。

 調査は2011年8月11日〜15日に実施。調査対象は、日本全国に住むFacebookユーザー(利用頻度は1日に1回以上)で、マスコミ・広告・宣伝・マーケティング従事者を除く20〜40代の男女。調査方法はインターネット。5263人より500人のサンプルを抽出。

● Twittermixiに20ポイント以上の差 Facebook上の口コミの強さとは

 調査によれば、「口コミ情報」で最も信用度が高いのは「リアルな口コミ情報」(とても信用する・まあまあ信用するを合わせて87.6%)。「Facebookの口コミ情報」はこれに次ぐ76.2%だった。「口コミサイト(アットコスメ価格.com)の情報」(67.8%)、「ECサイト(楽天・アマゾンなど)の口コミ情報」(64.8%)、「ブログの口コミ情報」(58.2%)と続いた。調査対象が「Facebookユーザー」という偏りは否めないが、それでもこの調査結果に共感を覚える人は多いのではないか。

 特徴的なのは、「Facebookの口コミ情報」を「とても信用する」と答えた人は7.4%で「口コミサイト」(11.0%)や「ECサイトの口コミ情報」(8.6%)よりも少ないが、逆に「全く信用しない」と答えた人は「Facebookの口コミ情報」(4.4%)、「口コミサイト」(7.8%)、「ECサイトの口コミ情報」(8.0%)。実名が推奨され、リアルな友だちと結びつくことが多いFacebookでは、入ってくる情報に対して拒否感を示す人が少ないと言えるだろう。

 Facebook以外のSNSはどうだろう。「Twitterの口コミ情報」は51.8%、「mixiの口コミ情報」は50.8%で、Facebookとは20ポイント以上の差がついた。「Facebookの口コミ情報を信用する理由はなぜですか」という質問に最も多くの人が答えたのは、やはり「実名登録制なので、信用できるから」(60.6%)。「嗜好性が似ている友だちの口コミを、参考にすることができるから」(45.1%)などが続く。実名登録制だから信用できる理由は2つ考えられ、大きな理由は続く回答にある「嗜好性が似ている友だちの口コミだから」だろう。さらにもうひとつの理由は、「やらせの可能性が低いから」と考えられる。業者による「やらせ」が指摘された食べログの件や、もはや流行語の感さえあるステマ問題に関するユーザーの拒否感は、ネットに親しんでいる人ほど強いのではないか。

● Facebookの口コミ、 最も気になる商品は「本」

 「Facebookの友だちの中でも、どのような人が投稿したモノやサービスだったら、買ってみたいと思いますか」という質問には、「その情報や商品に詳しい人」(64.0%)、「非常に仲の良い人」(63.3%)、「その情報や商品を実際に購入したり、利用した人」(53.3%)が多数派。「尊敬している人」(36.3%)や「芸能人や有名人」(7.5%)を挙げた人は少数派だった。

 また、「友だちがFacebookに投稿したモノやサービスのうち、どのようなモノなら買ってみてもいいと思いますか」という問いには、「本」が最も多く64.5%。「音楽」(43.5%)、「食品・飲料」(39.0%)、「家電・パソコン」(35.8%)、「ファッション」(35.5%)が続いた。

 「情報のキュレーション」という言葉が一般化し、Twitterで顕著だったのは興味深い情報にいち早く気付き拡散する少数のキュレーターへのフォロワーの集中だった。しかし今回の調査から読み取れることは、人々は身近にいる人を「個人的なキュレーター」として、ときに著名人よりも頼りにする可能性があることだ。誰もが日常的に情報を発信するようになってきたからあり得た現象だろう。情報は検索しなくても、自然に手に入るもの。そんな意識が浸透するのも遠くないのかもしれない。