<TV番組海外転送>知財高裁が賠償命令…著作権侵害認める

 日本のテレビ番組を海外の視聴者に転送するサービスを提供するのは著作権法違反だとして、NHKと在京キー局5社などが運営会社にサービスの停止と損害賠償を求めた2件の訴訟の差し戻し控訴審で、知財高裁(飯村敏明裁判長)は31日、運営会社2社にサービス停止と賠償を命じる判決を言い渡した。判決は「運営会社にはテレビ局の著作権を侵害した過失が認められる」と指摘した。

 転送サービスを運営していたのは、「まねきTV」の名称でサービスを提供する「永野商店」(東京都文京区)と、「ロクラク」の名称で展開していた「日本デジタル家電」(浜松市)。永野商店には約165万円、日本デジタル家電には1570万円の賠償額が認定され、デジタル家電には機器の廃棄も命じた。

 まねきTVは主に海外の視聴者が購入した市販の機器を有料で預かり、機器が受信した番組をインターネットでリアルタイムで転送。ロクラクは自社製の転送機器を用いて録画された番組をインターネットで転送するサービスを提供していた。

 こうしたサービスについて、昨年1月の最高裁判決は著作権法が許容する「私的利用」とはとらえず、著作権侵害にあたるとの判断を示した。

 そのうえでテレビ局側への賠償額などを確定させるため、2審・知財高裁に審理を差し戻していた。【野口由紀】

 ▽NHKと民放5社の話 適切な判断が下された。これからも著作権等の適正な保護に努めたい。

 ▽永野商店の代理人の話 賠償については、過失があると判断したことに納得できない。

 ▽日本デジタル家電代理人の話 デジタル家電機器開発技術の発展のためにも最高裁への上告を検討したい。