フェイスブックIPO価格は38ドル、時価総額約8.3兆円に

[ニューヨーク/サンフランシスコ 17日 ロイター] 米ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)大手のフェイスブック<FB.O>は17日、新規株式公開(IPO)価格を、仮条件レンジの上限となる38ドルに決定した。

18日の取引初日には、特に個人投資家からの強い需要を背景に公開価格を大幅に上回るとみられている。

同社は普通株4億2120万株を公開し、160億ドル超を調達した。調達額はグリーンシューオプションが行使された場合、184億ドルを上回る可能性があり、ビザ<V.N>に次いで米史上2番目の規模となる。

IPOに基づく時価総額は1040億ドル。これは米オンライン小売り大手アマゾン・ドット・コム<AMZN.O>とほぼ同水準で、米コンピューター大手ヒューレット・パッカード(HP)<HPQ.N>とデル<DELL.O>を合わせた時価総額を上回る。

フェイスブックは16日、IPOの規模を約25%拡大していた。また、15日にはIPOの仮条件レンジを従来の28─35ドルから34─38ドルに引き上げていた。

同社株は現地時間18日午前11時ごろ、ナスダックに新規上場する。

アナリストの間では、フェイスブック株が取引初日にどの程度上昇するかについての見方には大きなばらつきがある。IPO規模の大きさや仮条件レンジの引き上げを踏まえると初日の上昇率は10─20%程度にとどまるとの見方がある一方、上昇率が50%に届かなかった場合、失望を誘うと指摘する声もある。

モーニングスターのアナリスト、ジム・クラップフェル氏は「(上昇率が)50%を上回れば、成功したと言える。50%を下回った場合は失望につながるだろう」と指摘。「個人投資家の多くはバリュエーションを気にしておらず、これが初日の上昇要因となる」と語った。

また、グリーンクレスト・キャピタルのアナリスト、マックス・ウォルフ氏は「個人投資家の期待を背景に、株価は当初上昇しその後、放物線を描くようになる可能性がある。これらの株式は期待によって取引される。期待をどのように評価すべきか分からない」と指摘した。

ダン・アンド・ブラッドストリートのリー・サイモンズ氏は、フェイスブック株の取引初日の上昇率が10─20%にとどまると予想。「IPOは大規模で、仮条件も引き上げられており、大きく上昇することは難しいかもしれない。フェイスブックリンクトインよりも多くの株式を公開しており、リンクトインのように倍に上昇することはもっと困難だ」と述べた。

<Mスタンレーが投資家当たりの株割り当て上限引き上げ>

フェイスブックIPOで引き受け主幹事を務めるモルガン・スタンレー・スミス・バーニーは、個人投資家1人当たりのフェイスブック株割り当て上限を500株から5000株に引き上げた。

17日遅く電子メールで同社の投資アドバイザーに上限引き上げを伝えたという。

関係筋2人が報道機関に話す権限がないとして匿名を条件に明らかにした。

同社はモルガン・スタンレー<MS.N>とシティグループ<C.N>の合弁会社で、引き受け主幹事3行のうちの1行。広報担当はコメントを拒否した。

バンク・オブ・アメリカメリルリンチは投資家1人当たりの割り当て上限を2000株としている。

事情に詳しい関係筋は「(モルガン・スタンレーは)多くの株式を抱えており、売り切らなければならない」と指摘。

アイト・グループのリサーチディレクター、アロイス・パーカー氏は「引き受け主幹事になるといろいろな特典がある。メリルと取引しようかと考えている富裕層がいるのだろう」と述べた。

<課題残る>

フェイスブックは成長ペースを維持するという課題に直面している。一部の投資家は、タブレット端末やスマートフォン(多機能携帯電話)などの携帯端末からフェイスブックにアクセスするユーザーの増加を利用して収益を拡大する手段をフェイスブックがまだ見つけ出していないことに懸念を示している。

同社の売上高の大部分を占めるオンライン広告収入の伸びはここ数カ月間に減速した。

スイスUBS<UBSN.VX>のアドバイザーは当初、12人の顧客からフェイスブック株を購入したいとの依頼を受けたが、過去数週間に2人が気を変えたという。

同アドバイザーは匿名を条件に「多くの人が、最近のネガティブなニュースを受けて困惑している。ある顧客はGMがフェイスブックへの広告掲載を取りやめたことに懸念を示した」と語った。

ゼネラル・モーターズ(GM)<GM.N>は15日、消費者への効果が薄いことを理由に、フェイスブックのサイトへの広告掲載を停止する方針を示した。

*内容をさらに追加して再送します。